カウンセリングで出された宿題に取り組むことを、意識しながら過ごす日々が続いた。
しかし、なかなかその機会をつくることができず、そのアイディアもないままにときが過ぎてしまう。
自分からなにか企画して、他人を巻き込んだらそれだけ、自分にものすごいプレッシャーがかかってしまうので、それは方法として間違っていた。
仮に友人2~3人に、僕のプレゼンを聞いてくれなんて提案をしようものなら、それだけでハードルがあがってしまいます。
あがり症克服は、このような実際の場面づくりの難しさもあることを痛感していました。
学校の帰りに3人で飲みにいく
そんな、日々を過ごすなか、偶然的にその機会が訪れました。
ある日5時限目の授業を一緒に受けていた、知人二人とそのまま駅まで帰ることになった。
駅付近にきたとき、「開店1周年記念!全ドリンク今日だけ100円!」という手書きの板が三人の目に止まった。
思わず100円は安いね~
腹減ったし軽く飲みに行こうかという話になり、その居酒屋に入った。
この時なぜか、ハイペースでみんな飲みだした。
その調子に乗せられて僕もガンガン飲んでいた。
その3人で相当飲んで時計を見ると10時半になっていた。
そろそろ出ようか?ということになり、3人で会計を済ませ店を出た。
駅に向かう途中で完全に酔っ払った僕たちの目に止まったのはビックエコー。
ちょっと歌ってこ~
おうおう~
僕は相当酔っ払っていたが、かろうじて最低限の判断はでき状態でした。
そんな状態で、ふとそういえばカラオケで試せると思った。
僕はそのまま酔った勢いで、店に入る。
そうそう、俺のしぐさや声なんて周りはそんなに気にしちゃいない。
酔っ払った頭のなかで、それを何度も何度の、頭の中を反芻した。
偶然にもカラオケで歌うことに
3人で店に入り、2階の奥の部屋を案内される。
酔っていながら、この固執に入るだけでやはり緊張が走る。
魔のカラオケだ~
部屋に入り、席につき電話をとり早速酒とつまみのオーダーを入れる。
それから、するともう2人は選曲をしだし、リモコンに数字を打ち込んでいる最中だった。
打ち込み終わると、はい~といってリモコンを僕に渡してきた。
僕は勢いでゴスペラーズの「ひとり」を入れた。
「人は僕のうたなんて聞いちゃいない、大丈夫」
と何度も酔っ払った頭の中で繰り返した。
ひとりが歌いだしたころ、オーダーしたお酒とおつまみがきた。
その、僕はその時に同じ、レモンサワーをもう一杯頼んだ。
そして、目の前にあるりんごサワーを気に飲み干した。
他の二人は相当酔っ払っていて、あまり呂律が回っていなかった。
もうひとりが歌い終わって、僕の番になったとき、僕はもう「人は僕のうたなんて聞いちゃいない、大丈夫」という呪文は全く忘れていた。
マイクを握った瞬間に脚にいつもの硬直がきて、それが体全体に広がった、
しかし、いつものように頭が真っ白になることがなかった、かろうじて自分が何をしているかが把握できていた。
正直あがっていたし、声も震え気味でひどい歌だったと思うけど、他の二人も酔っ払っていて、歌がどうとかなんて聞いていなかったし、おまえ歌うまいじゃないか!などと言っていた。
その、カラオケでは2時間終電ギリギリまで続き、僕は何曲も歌った。
きっと顔は硬直して引きつった表情だったと思うが、あがりながらも、歌うことができたのだ。
次の朝起きて、昨日のことを思い出していた。
そうだ、僕はカラオケを何曲も歌うことができた!
それから、次のカウンセリングまでは、このような人前で話したり歌ったりする機会は作れなかった。
3回目のカウンセリングで出た宿題
その状態のまま、カウンセリングへ。
カラオケのはなしをしたら、カウンセラーは、それは素晴らしい!と褒めてくれた。
今度は、酔っ払わないでやってみてくださいと言う。
しかし、カラオケにいく機会を作るのが難しいと思っていたし、正直お酒なしでは難しい気がした。
お酒をかなりのんで、酔っ払っていたにもかかわらず相当あがっていたし、声も震えていたのだから、、、、
今回の成功は、ものすごい偶然性で生まれた出来事である。
完全に泥酔して、物事の判断力がなくなる直前の状態にいたためにできたことで、これ以上酔っていたらリモコン操作もできなかっただろうし、これよりも少し醒めていたらあがって歌なんて歌えなかっただろう。
そんなことを考えていると、、、、
カウンセラーから、カラオケじゃないものももっとチャレンジしてみてくださいと言われる。
ぜんぜん変わっていない事実に直面する
それから、その様な機会がバイト先で訪れた。
バイト先の倉庫で、今度新しいバイトの人が2人入ってくるので、その人たちの倉庫全体の場所と、仕事の流れを説明してくれと、先輩から言われた。
土曜日の朝から、その説明に入ったが、「僕は呪文を何度も頭の中で唱えた」「僕のしぐさや声のことなんて誰もそんなに気にしちゃいない」と。
2人が事務所に入って来て、僕はあいさつを交わし早速倉庫全体を案内して、仕事の流れを説明した。
それは30分程度の時間だった。
僕は、やはりあがってしまった。
頭が真っ白になり、声は上ずっていて、その2人と目を合わせられなかった。
でも、なんとか30分やりきったけど、ところどころ記憶が曖昧だった。
終わって、トイレに入り自分の顔を見たら汗だくだった。
僕は自信をなくした。
2人からは相当変なん人だと思われただろう。
カラオケで歌えたのは、酔っ払っていたおかげだった。
という事実に直面させられた。
そして、ずーっと後に手にする>>>このプログラム<<<では、このあがりのループから抜け出せないメカニズムについて説明されていたのですが、当時はまだ理解が浅かったのです。