あがり症を克服するには、心理学的・身体的アプローチの2つがあります。
そして、身体的な要因であがり症になっている場合、心理学的なアプローチで改善を試みても永遠に結果は出ません。
「これなら治るどもり・赤面・あがり症・自律神経失調症」は身体的なアプローチでどもり・赤面・あがり症・自律神経失調症を治す手法です。
「丹田力矯正法」とは呼吸法によって、体内のエネルギーの流れを変えることで、低下している発語エネルギーを強化し、どもり・赤面・あがり症・自律神経失調症を治すというものです。
この記事では、「これなら治るどもり・赤面・あがり症・自律神経失調症」を読み実践することで、本当にあがり症を克服できるのか?
この本でしか得られない情報・メソットは何か?この本の素晴らしい点は何か?この本の欠点は何か?この本の根底に流れる哲学は何か?について、悟史なりの考えと感想をご紹介致します。
目次
著者《須郷昭》情報
著者プロフィール
氏名:須郷昭(スゴウアキラ)
出身:青森県弘前市
誕生:1952年
出身校:日本大学工学部卒業
【経歴】
24年間サラリーマン生活をおくり、その間、吃音である自分を実験体として、その原因と改善の研究を独学で行う。
多くの書籍を参照し実験を重ねるも、自身の吃音は全く改善を見せなかった。
世に流布している吃音改善の理論は間違っていると考え、自らのひらめきで「生体工学理論」を確立する。
1977年に吃音および赤面・あがり症治療のための中央クリニック研究所(現クリニック研究所)を開設し、吃音で悩む多くの人々を救う活動に尽力してきた。
1998年、2007年に、吃音矯正に関する実用新案、腹圧呼吸を可能にする用具等に関する実用新案を特許庁から取得。
これなら治るどもり・赤面・あがり症・自律神経失調症の目次・内容
出版日:1999年6月20日
ページ数:215p
著者:須郷 昭(すごう あきら)
目次 これなら治る どもり・赤面・あがり症・自立神経失調症
はじめに p1
PART1 どもり・赤面・あがり症は必ず治る
◎一生治らないという絶望感 p16
◎日本で初めて特許をとった「丹田力矯正法」 p18
◎どもりだったから開発できた「丹田力矯正法」 p20
◎生まれつきのどもりなんて一人もいない 23
◎「ハイ」と答えられないみじめさ p25
◎暗い思い出ばかりの学校時代 p27
◎初めて感じた人生の挫折 p29
◎どもりは結婚もできないのか p31
◎どもりを克服して人生をやり直したい p33
PART2 どもり・赤面・あがり症の本態はこれだ!
◎どもりも赤面症も原因はおなじだった p38
だれでもどもりになる可能性がある p38
きっかけは人まね、感染、情緒不安 p40
どもり方にもタイプがある p42
紀元前から吃音者はいた p43
増えている赤面・あがり症・自律神経失調症 p45
どもりも赤面・あがり症も同じコミュニケーション障害 p47
原因は体の中の上昇気流 p49
◎コミュニケーション不全は体のくせにすぎない p51
誤解・偏見に満ちたどもり p51
四つの幻想のウソを暴く p54
その①「どもりは生まれつきの障害」だというウソ p55
その②「緊張するからどもる」というウソ p57
その③「口の形が悪い」「発声法が悪い」という単純な発想 p60
その④「どもりは原因不明」というウソ p61
◎子どものどもり、大人のどもり p63
子どもはみんなどもりの傾向を持っている p63
周囲がどもりだと思うことからどもりが始まる p65
大人のどもりは治りにくい p67
◎呼吸と深く関わっている発語のしくみ p68
発語のメカニズムを考える p68
吃音者は空気を吸い込めない p70
どもりを治すヒントは腹式呼吸にあった p72
のどをふさぐ破裂音 p73
重力に支配されている発語機能 p75
心と深いつながりのある横隔膜 p77
PART3 自律神経失調症も治る驚異の「丹田力矯正法」
「10年1日のごとし」のどもり強制技術 p82
これまでの矯正法でどもりは治らない p83
生体工学の視点からアプローチした根治療法 p86
「エッ、これが私の話し方!?」 p88
グラフで一目でわかる矯正の効果 p91
◎エネルギーの置換という新しい発想
自然の法則に反する上昇気流 p95
上昇気流は慢性的な酸欠状態をつくる p98
上昇気流は自律神経を失調させる p100
肉体的側面と精神的側面からアプローチする p101
◎認められた「丹田力矯正法」の理論と効果 p103
スマイル話法をめざせ p103
六つのステップで段階的に矯正 p104
ステップ①-丹田部の強化と丹田式呼吸法の習得 p105
ステップ②-横隔膜下降訓練 p106
ステップ③-横隔膜を水平に広げる訓練 p106
ステップ④-発音筋とのどのエネルギー置換訓練 p107
ステップ⑤-腹圧呼吸の訓練 p107
ステップ⑥-横隔膜のゆがみを取り除く緊張解消訓練 p108
矯正の三本柱を習慣化する p109
肩呼吸から腹式呼吸へ、呼吸法を変える四つのポイント p111
矯正には物理的な手段が必要 p113
矯正後を維持する横隔バンドの威力 p114
確かな理論と効果で特許獲得! P116
PART4 家庭でできる自己矯正のステップ6
◎どもりも赤面・あがり症・自立神経失調症もこれで治る p120
◎訓練を始める前に p122
◎訓練の進め方 p123
一カ月目 ステップ1-腹式呼吸の基礎である丹田力を養う p124
この訓練で使うもの p125
訓練のしかた p125
訓練のポイント p127
日常の呼吸 p128
二カ月目 ステップ2-下を力点にして横隔膜を下げる p129
この訓練で使うもの p129
訓練のしかた p130
この訓練のポイント p132
日常の呼吸 p133
三カ月目 ステップ3-吸引呼吸で横隔膜に水平力をつける p133
この訓練で使うもの p134
訓練のしかた p134
訓練のポイント p136
日常の呼吸法 p137
四カ月目 ステップ4-顔面筋のエネルギーを置換してとがりを解消 p137
この訓練で使うもの p138
訓練のしかた p138
訓練のポイント p140
日常の呼吸法 p141
習得度のチェック p142
五カ月目 ステップ5-腹圧呼吸で腹式呼吸を完成させる p143
この訓練で使うもの p144
訓練のしかた p145
訓練のポイント p148
日常の呼吸法 p148
訓練の成果のチェック p149
六カ月目 ステップ6-横隔神経の緊張をとって精神を安定させる p150
この訓練で使うもの p151
訓練のしかた p152
訓練のポイント p154
日常の呼吸法 p155
話し方のコツ p155
◎赤面・あがり症・自律神経失調症のための六つのステップ p156
◎横隔バンドで完全な腹式呼吸、腹式発声を身につける p159
横隔バンドをつけて複式呼吸をする p159
横隔バンドで下降気流の道をつくる p162
◎再どもり・赤面症にならないために p163
PART5 悩みを乗り越えた人々の感動の記録
◎治したいという強い意志が人生を変える 166
◎言語障害者と思われていた私が満場の喝采を浴びるまで p168
子どもでも自分の名前が言えるのに p168
矯正に駆り立てたのは「子どもに遺伝した」という疑い p170
「子どものためにがんばる!」 p173
矯正の訓練が性格を変えていく p174
90パーセントの改善に涙 p176
大勢の観衆の前で発表する喜び p177
◎一年遅れたけど、どもりを克服して念願の職業につけた p180
どこにも就職が決まらない p180
「もしかしたら治るかもしれない」 p181
理論的な理解が矯正を早めた p183
「絶対に就職する」という強い目的意識が必要 p184
一年前とはまったく違う若者がいた p186
◎管理者としてやっていくためにやり遂げたどもりと赤面克服の道 p188
西郷さんの下で肝試しをしている男性 p188
「昇進なんて少しもうれしくない」 p190
吃音者の九割は赤面:あがり症を併発している p191
女性社員からの評判も上々 p193
男泣きに泣いた多田さん p194
◎好きな人への告白から交際まで、長い道のりを克服して p197
「医学がこんなに進んでいるのに・・・」p197
矯正を成功させるうえで大事な信頼関係 p199
最初の吸気可能時間は九秒だった p201
ほかの男性に気があると誤解されて・・・p202
ようやく訪れた青春 p204
◎対人恐怖症を乗り越えて人生の再スタートをきった p207
人生を狂わせた”病気” p207
「丹田力矯正法」で治る対人恐怖症 p209
突然のできごと p210
通信教育という方法があった p212
新たな出発の日 p213
この本を実践して本当にあがり症を克服できるのか?
須郷昭氏のメソットは、「丹田力矯正法」と呼ばれている呼吸法を使ってどもり・赤面・あがり症・自律神経失調症を治すものです。
治る確率は90%とうたわれてます。
このメソットを身につけるための六カ月間のプログラムが本には書かれています。
悟史は、これ全部はとてもやりきれそうにないので、省略形でしばらくやっていました。
確かに、人前で話す際の意識状態が以前より安定し、あがる感覚が小さくなりました。
このメソットで、あがり症の人が治るかというと、治る人もいるのでしょう。
呼吸法そのものが、精神が落ち着き、酸素の供給量が増えて身体・精神ともにプラスの効果があるとうのは、やれば誰でも実感できるでしょう。
しかし、これで必ずあがり症が治るかというと、そうではないと思います。
心理的要因であがり症になっている人の場合、深層心理にあるプログラムを書き換える必要があるので、この方法では改善するとは思えません。
須郷昭氏はもともとはどもりを改善する研究を進める過程で、どもりになる人の多くがあがり症・赤面を併発するという統計が取れたそうです。
つまり、どもりはない純あがり症の人に関する記述・考察がこの本にはないので、その点の研究の跡が不透明です
この本でしか得られない情報・メソットはあるか?
須郷昭氏の「丹田力矯正法」はほかではない手法です。
このメソットで特許を獲得しているので、世に溢れている呼吸法とは一線を画する領域のメソットです。
6ヶ月間のトレーニングは、マウスピース、ダンベル、棒などを使う独特の内容になっています。
この本の素晴らしい点は何か?
須郷昭氏は、自身がどもりになり、それによって人生で挫折を味わい、そこから死にものぐるいでどもりを治す研究に没頭したそうです。
「丹田力矯正法」はその中で開発された治療法であり、身体的なアプローチでのメソットとしてはともて素晴らしいものだと思います。
この本の欠点は何か?
「丹田式矯正法」はそもそも、どもりを治すための開発された療法です。
そして、どもりによって併発したあがり症も治るという結果から、あがり症にも対応できるという理屈なので、そもそもあがり症を治すための方法ではないという点が欠点でしょう。
それから、あくまで呼吸法という身体的なアプローチのみの方法であるという点も、限界があります。
トラウマ的な心理的要因で、あがり症になっている場合、身体的なアプローチのみでは、効果は期待できないでしょう。
そして、このトレーニンはかなりの期間を要し、結構きつい内容になっています。
体内のエネルギーの流れを変えることは、簡単ではないということなのでしょう。
この本の根底に流れる哲学は何か?
どもりという人間に起こる現象は、あくまで生体工学的な要因によって起こるのであり、心理は全く関係がないという考え方が、貫徹されています。
総合評価
「丹田力矯正法」を実践するには、本を読んで自分ひとりで継続するのは難しい内容になっています。
1回/月のカウンセリングを受け、医師と進捗の報告・相談をしながら進めていくのが前提のプログラムだと思います。
ですので、「これなら治るどもり・赤面・あがり症・自律神経失調症」は本としての価値は低いと考えます。
クリニックの治療プログラムへ誘導する、広告媒体だと考えるのが妥当です。
そして、本だけでも自分ができる範囲で呼吸法を取り入れると、一定の効果はあります。
その意味で、精神を安定させる呼吸法の本だと思えば、結構価値があると思います。