10人から100人の前でラクに話せる さようなら!「あがり症」【麻生けんたろう】のレビュー

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう

あがり症を克服するには、自分にあった先生を見つけるということは、重要なポイントです。

あがり症克服に関して、実績は知名度が高い人でも、この人の言っているノウハウや考え方がしっくりこなくて違和感がある場合は、その先生のメソットに取り組んでもなかなか、望む結果が出ないでしょう。

悟史は、あがり症を必ず克服できるノウハウやメソットなんてないと思うのです。

そのときのその人にあった改善方法があり、それに出会わないとなかなか進まないというのが、あがり症です。

それを嗅ぎ分けることが、できないと、永遠にあがり症地獄から抜け出せないと思います。

《人から100人の前でラクに話せる さようなら!「あがり症」》は、精神科医か書いたような、きちっとした理論に基づいて書かれている感じがしない本ですし、あがり症の人にとって10~100人の前でラクに話ができるというのは、夢のような話でしょう。

著者の”麻生けんたろう氏”はあがり症だった自分が、アナウンサーとの出会いから克服するという経験を通して、あがり症克服のノウハウを構築し、教えるようになった人です。

この人のノウハウには、独自のエッセンスがあり、それがそれぞれに人に有効なのかそうでないのかはわかりません。

この記事では、《10人から100人の前でラクに話せる さようなら!「あがり症」》を読み実践することで、本当にあがり症を克服できるのか?この本でしか得られない情報・メソットは何か?この本の素晴らしい点は何か?この本の欠点は何か?この本の根底に流れる哲学は何か?について、悟史なりの考えと感想をご紹介致します。

 

見出し著者《麻生けんたろう》情報

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
・氏名: 麻生けんたろう
・生まれ:1967年
・経歴:東京電機大学卒。
あがり症の営業マン時代を過ごし、局アナをしている友人との出会いにより克服した。
その後アナウンサー養成学校に通い、札幌転勤を機に独立を決意し、北海道のラジオ局を中心に喋り手として活躍。
・活動:話し下手で悩む経営者、医療関係者、就活生、女性起業家など、延べ1400人以上に個別指導をする。
地元旭川では聴衆の関心をひきつけるプレゼン力、初対面でも相手の心を開くコミュニケーション力を磨く勉強会「雄風会」を主宰。ラジオの喋り手ならではの話術『スケッチ・トーキング』をはじめ、メンタリズム、コールドリーディング、NLPのスキルを融合した仕事や恋愛に活かせる独自のコミュニケーションノウハウを伝授。希望者には書籍の企画、出版支援もしている。
FMりべーる取締役 /株式会社アルマテックネット取締役 /株式会社アイディアサンタ取締役
メルマガ1万7千部を発行している。
・著書: 「しゃべる」技術

 

見出し10人から100人の前でラクに話せる さようなら!「あがり症」【麻生けんたろう】の目次・内容

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
出版日:2006年9月28日
ページ数:229p
著者:麻生 けんたろう(あそう けんたろう)

はじめに
第1章※「あがり症」はこんなに損をする
「話すのは苦手」では一生損をする p12
あなたは「共鳴力」を使うのを放棄している p14
一生に名前を呼びあえる人数は有限 p17
あなたの人生を左右する大事な一歩 p19
出会った人のうしろには300人いる p21
あがる人ほどコミュニケーションパワーが大きい p24
緊張は消すな! p26
心のバランスを取り戻す p28
なぜ、あなたはあがってしまうのか p30
どうすれば、あがりは克服できるのか p33

第2章※ハイブリッド克服法
【思考】
「思考を変える」ソフトをインストール p38
あがっていることを認めるソフト p39
二念をつがない p41
誰も期待していないと思う p44
あなたの1年前の悩みは何? P48
目標をすりかえるソフト p47
過去形で自分に語りかける p50
逆算思考を身につける p52
「脳は矛盾を許さない」ことを利用する p54
深呼吸があがりを抑えるのに効果的な理由 p56
間違った条件反射を修正する p58
あなたは幼稚園で学んだことができているか? p60
【準備】
現実と理想のギャップをさらに埋めるために p62
あがりを克服するうえで逃げてはいけないモノ p64
心理フラワーデザイナーになる p66
あなたはどっちのタイプ? P68
チャレンジする過程をまわりに見せる p69
基本は一対一 p70
簡単に会話が続く相槌と質問 p72
明石家さんまさんが使うテクニックをマスターする p75
4W2Hで質問をする p78
三回に一回は無言で相槌 p83
一つの話に二つ以上メッセージを入れない p84
ラジオCMは身近なお手本 p87
本を要約して話す p88
あがりを防ぐ強力な方法「ヤバダバドゥ〜」 p88
天才外科医財前五郎になる p90
キムタクならどうする? p92
「二一日間の法則」を使う p93
つくり笑顔でもすぐつくる p95
一○用意して九捨てろ! p97
進行表は「マインドマップ」で p99
ツカミとシメで八割はOK p102
会場の下見は絶対にする p106
本番直前にすること p107
あがりを防ぐ食事とは? p108
アナウンサー学校でジャージ姿になる理由 p109
【対処】
本番であがってしまったときの緊急対処法 p110
お笑いタレントも使う強力なあがり症克服法 p111
セキをする p113
自分を実況中継する p114
何でも得意分野に持っていく p116
慣れたら「質」へ p118

3章※場面別あがり克服法
結婚式では p122
▼のっけからつまずいたとき▼途中でつまずいたとき▼司会のときは
面接では p128
▼右手で握手するイメージを持つ▼語尾をはっきり発音する▼話の内容は具体的に▼餅つきをする感覚で▼笑顔を忘れずに
セミナーでは p138
▼レジメは一枚のマインドマップでつくる▼水を用意する▼参加者も風景の一部と思う▼反応が悪いと感じたら、質問タイムへ▼子供のおもちゃを会議室に散りばめる
会議では p142
▼メイン発表者の近くに座る▼発言は「アポヒマナ」で!▼相手の意見にプラスワン
商談では p148
▼伝えたいことは、ラジオCMと同じで20秒以内で▼相手を必要以上に持ち上げない▼結婚指輪をつけていく
合コンでは p152
▼過去に褒められたことを思い出す▼自己紹介文を用意する▼相手を褒める
接客では p157

4章※アナウンサーもこっそり使っている!あがりを抑えるテクニック
アナウンサーだってあがる p162
口を上下左右に動かす p163
乾燥を防ぐ食物をとる p164
携帯電話を使ってテンションアップ p165
あたためと重心取り p166
話す人数の規模に応じて使い分ける p168
仲間づくり大作戦 p170
目上の人と話すときは p171
思い切って「ワークネーム」を名乗る p173

5章※魅力的な話し方に挑戦する
最初から「話の達人」はいない p176
めざすは「H→H」! P178
聞きやすい声とは? p182
「声」と「息」の割合を変える p185
話題の集め方 p187
おすすめの情報ソース p190
行き先が京都なのか北海道なのかを決める p193
一流のカメラマンと三流のカメラマンの違い p196
起承転結で話すな! p198
三分以上話すときは三部構成にする p201
「ツカミとシメ」を考える p204
10ある表現方法のうち一つはマスターする p205
▼自然にしゃべる▼一対一の感覚を忘れない▼「間」を使う▼「抑揚」を使う▼「プロミネンス」(強調)を使う
▼「比較」を使う▼「比喩」を使う▼色、音を表す言葉を使う▼ジェスチャーを使う▼(番外編)ヒロシのしゃべり方を真似てみる

今日でさようなら! あがり症
おわりに
参考文献

 

見出しこの本を実践して本当にあがり症を克服できるのか?

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
この本はあがり症の人を対象にした本ではないので、あがり症の克服にはほとんど寄与しないでしょう。

あがり症重症度を次の4つのゾーンに分けてみます。

「あがり症」4つのゾーン

《Sソーン》重度のあがり症:人前に出ると頭が真っ白になって、話をするどころではない。
《Aソーン》軽度のあがり症:人前に出るとあがってしまい、声がうわずったりしてしまうが、なんとか話すことはできる。
《Bソーン》緊張しやすい:人前に出ると緊張して、よいプレゼン・話ができない。
《Cソーン》少し緊張しやすい:人前に出るのが、得意ではないが、それなりに話はできる。

《10人から100人の前でラクに話せる さようなら!「あがり症」》を読んで活用できる人は、B、Cの人です。

普段はあがらないけれど、結婚式の司会や、参加者が100人を超えるような大規模セミナーの司会などのかなり大きな舞台になるとあがってしまうという人向けの内容になっています。

2章に「二念をつがない」という考え方が書かれています。

この「二念をつがない」というのは、禅の言葉で「眼の前で起こったことをそのまま捉える」と説明されています。

例をあげてこの意味を説明しますと、たとえば会議で人が担当している事案の状況を説明するに際に、すごく緊張したとします。

この緊張したという自分の中で起こった現象は一念です。

さらに、「緊張してしまったまずい、うまく説明できないかもしれない、、、、」という考えが浮かぶのが二念です。

実際は二念どころか、さらに「やばい、説明に失敗したら、信頼を失う」→「プレゼンベタだという烙印を押されたらおしまいだ」などと三念、四念と連鎖的に悪い想像が展開していくのです。

あがりが悪化するメカニズムは、この二念が生まれることにあると言っても過言ではないでしょう。

それを、ただ「自分はこの会議で説明していることで、緊張している」という一念だけにとどまり、自分の反応をただ素直に受け入れるというのが、「二念をつがない」という意味です。

この考え方を取り入れることは、色々な場面で役に立ちますが、S、Aゾーンの人は人前に出たときにこのような高いスキルは使いこなせるわけもありません。

あがり症の人は、この二念→三念→四念→五念という悪い想像の連鎖が、自動的に起こる人なので、「二念をつがない」という方法はやろうとしてもできるものではなりません。

この本はこの手のスキル、考え方がたくさん紹介されています。

 

見出しこの本でしか得られない情報・メソットは何か?

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
この本を要素別に分類すると次になります。
Лテーブルタグ
メンタルコントロール 捉え方を変える
五感を変える
演出         話し方のテクニック
見せ方のテクニック
場面別のノウハウ   結婚式
面接
セミナー
会議
商談
合コン

この本でしか、得られない情報・メソットはあまりないのですが、メンタルコントロール、演出、場面別のテクニックという3分野で使える小ネタ集という感じの本です。

貫徹した一つのコンセプトがない感じです。

そして、書かれているたくさんの小ネタは、それぞれかなり秀逸なものがありますが、それが秀逸であればあるほど、実際に使いこなすのが難しいです。

そのメソットの背景にある深い心理的な本質を、活字だけでは伝えきれないのです。

 

見出しこの本の素晴らしい点は何か?

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
この本にはたくさんの小ネタが、体系化されない状態で並んでいます。

著者である”麻生けんたろう氏”が実際にあがり症を克服し、ラジオでしゃべる仕事や人前でしゃべる多くの場面で培ったメソットがランダムに書かれています。

そして、”麻生けんたろう氏”はNLPなどの心理を学んでおり、それを応用して実践で使えるようにカスタマイズしたノウハウがたくさん書かれています。

人前で話すツールを手にしたいなら、有用なものが必ずこの本に入っています。

 

見出しこの本の欠点は何か?

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
著者の”麻生けんたろう氏”はあがり症を克服したということが経歴に書かれていますが、この本は重度のあがり症の人に役立つ、メソットがほとんどありません。

著者であれば、あがり症克服に有効なメソットはたくさんあるはずですが、この本はそうなっていないのです。

 

見出しこの本の根底に流れる哲学は何か?

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
この本は、貫徹した哲学はなく、とにかく話し方のメソットをただ並べただけという感じの本です。

ただ、敢えて拡大解釈すると、人間の意識・認知システムは非常に柔軟であり、あがるのはその柔軟性をマイナスに使っているために起こる。

それをプラス側に使えば、だれでもあがるどころか、優れた話し手になることができるという思想が、根底にあるかもしれません。

 

見出し総合評価

10人から100人の前でラクに話せるさようなら!「あがり症」,麻生けんたろう
この本は、実はかなりディープなスキルを元にしたメソットがたくさん書かれていますが、そのような文脈で構成されていないので、読みてはそのディープさを知ることはないでしょう。

その意味で、勿体ない本です。

それと、麻生こうたろう氏は話すことが仕事なので、ノウハウを論理体系化するのが苦手なのかもしれません。

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