僕は、2週間後から始まる、セミナーの司会をやることで頭が一杯だった。
普通の人にとってはたいしたことではないけど、僕にとってもたとえそれほど出番がない、司会であってもそれは一大事であった。
そのセミナーは40~60人程度の参加者の方が集まり、講師の紹介や、セミナーの注意点、スマホの音を切ってくださいなどのアナウンスをするだけなのだ。
出番の時間はせいぜい5分程度しかない。
普通の人であれば、造作もない仕事でしょう。
僕は、今まで学んだことを総動員して、準備を進めた。
最近始めたのは川沿いの人気のないところへ行って、ボイストレーニングでした。
司会をやるまでの2週間、僕は真剣にあがり症対策に取り組みました。
先日返金することを前提に購入した>>>あがり症改善プログラム<<<にも目を通しながら、少しづつ学んでいました。
そして、最悪、デパス・インデラルを飲めばいしという選択肢があったので、少し気持の余裕がありました。
「カラオケであがらずに歌えた」という奇跡
そんな日々を続けていたとき、来月のセミナーコンテンツの打ち合わせが夜に終わり、そのメンバー4人でちょっと飲み行こうという話になりました。
チェーン店の居酒屋で軽く飲んで店を出たときに、なぜかカラオケに行こうという話になり、そのころは自分が「あがり症」であることをみんなに告白はしていたので、悟史さんどうする?
と聞かれました。
嫌なら無理しなくていいからねとも言われましたが、僕は即座にいくと答えました。
>>>あがり症改善プログラム<<<というノウハウに2週間程前から取り組んいたので、この状況で試してみようと思ったのです。
司会の本番をやる前に、自分のあがり症度合いを計測する良い機会でもありました。
以前学生時代にベロベロに酔っ払った状態でカラオケを歌うことが1度だけできたことを思い出しました。
今日はほろ酔い程度ですが、やってみたかったのです。
少し歩くと「カラオケの鉄人」の看板が見えてきて、4人で入っていきました。
受付を済ませ部屋へ案内されて、みんながリモコンで曲を入れはじめ僕もSMAPの「さかさまの空」を入れた。
4番目の僕の番になったとき、3人の注目が僕に注がれるのが分かる(笑)
それは僕も同じ気持だった。
テーブルの上にあるマイクを握ると、それはずっしり重く感じた。
・・・・わかってるんだ、君はくつひもをなおすふりをしてるけど、ほんとうは、泣いていたんだ・・・
おおお!!
ほとんどあがらなかった。
涙がとめどもなく溢れ出てしまった
他の3人が僕がどうなるかを、固唾を飲んで見ているのが分かった。
そんなに酔っ払っているわけでもないし、薬も飲んでいないのに、、、、
人前で話したり、歌ったりするときに自分の中に、“強烈に立ち上がってくる何か”今回は何もないのです。
あれれ!
自分の中で何が起こっているのか分かりませんでした。
いつも僕に襲いかかってくる、悪霊のようなものの存在はなく、今回は全くのクリアな空気がそこにあるだけというような、不思議な体験でした。
それは、まるで肩透かしを食らったような感覚でした。
「自分があがり症であるとい事実をしっているメンバーだけ」という恵まれた状況下での出来事とはいえ、僕にとっては奇跡でした。
僕は何曲か歌ったときに、なぜか涙が出てきてしまった。
たかがカラオケを歌えただけのことだけど、わけもなく涙が溢れてきてどうしようもなくなったのだ。
そのとき他のメンバーは、ただ黙って見ていてくれた。
良かったね!とも言わず。
場がシーンとしてしまい、僕が泣き止むと、歌おう!といい、カラオケは続いた。
そして、それから2時間半もカラオケの時間が流れた。
僕はたくさん歌った、、、、
歌は下手だけど、今まで歌えなかったぶんを取り返そうとするかのように、、、