当時少し学び始めた催眠について、自分なりの考えを書こうと思います。
当時いろいろな取組をして、自分を実験台にしていろいろな方法であがり症改善に取り組みました。
それらを効果という観点で分けると、次の5つに分類されまず
- 効果があったものもの
- 全くなかったもの
- 効果が微妙なもの
- 単体では無効で、他の方法と組み合わされて初めて効果が生まれるもの
- その時は効果が見えないが、年月を経て効果が出るもの
僕の場合、催眠は(1)(4)(5)に該当しました。
(1)は分かりやすいのですが、(4)(5)はとてもとても曖昧です。
本当は効果があがったのかどうかは分からないのですが、なんとなくあるような気がするというだけです。
思い込み(信念)が生むあがり症
あがり症を生み出すのは、どんな観念(信念)を持っているかによって変わってきます。
この観念は心理学ではビリーフ(信念)と言われ、人が何を信じているかを指します。
これによってあがり症が生まれたり、なくなったりします。
例えば、次のような思い込み(ビリーフ)を持っていると、あがりやすくなります。
- 人まえで話すことは難しい。
- 人まえで話すことは困難こんなんだ。
- 人まえで話すことは恥ずかしい。
- 人まえで話すのは緊張するが普通。
- 人まえではきちっとしなければならない。
- 人まえで失敗したら一巻の終わりだ。
他にもたくさんありますが、この辺にしておきます。
これらを見て、ええ、、これは当たり前じゃないの?
と思った方は、あがり症になりやすいです。
人によっては次のような思い込み(ビリーフ)を持っている人もいます。
- 人まえで話すことは楽だ。
- 人まえで話すことは簡単だ。
- 人まえで話すことは面白い。
- 人まえで話すのはワクワクする。
- 人まえでは楽しまなければ損。
- 人まえで失敗すると、そこからの展開が面白い。
このような思い込み(ビリーフ)を持っている人は、基本的にあがり症にはならないでしょう。
この思い込み(ビリーフ)を書き換えることができれば、あがり症は改善されていく可能性が高いと言えます。
しかし、自分がどんな思い込み(ビリーフ)を持っているのか?その思い込み(ビリーフ)を書き換えるにはどうすればよいか?が普通は分からないわけです。
それをする方法の一つが、催眠です。
催眠のメカニズム
催眠療法は、人間の2つの意識領域である「顕在意識」と「潜在意識」の内の「潜在意識」へアクセスして、そこのデータベースにあるプログラムを書き換えるという技術です。
そして、この「潜在意識」は、人間の行動・反応をつかさどる、思い込み(ビリーフ)の情報が格納されています。
だれしも、思い込みをたくさん持っていて、その思い込みが生きる上で有効なものもあるし、とても厄介で邪魔なものもある。
あがり症になりやすい思い込みを、なりにくい思い込みへと書き換えることで、あがり症を改善することが催眠療法で可能なのです。
例えば「人前で失敗したら一巻の終わりだ」という思い込み(ビリーフ)を持っているとします。
するとこのような思い込み(ビリーフ)を持っている人は、次のようなプロセスを体験します。
「人前で失敗したら一巻の終わりだ」→失敗できないので緊張する→あがる→失敗する→みんなから笑われる
この入れんのプロセスを体験すると、さらに次のようなプロセスを体験します。
さらに「人前で失敗したら一巻の終わりだ」という考えが強くなる→さらに緊張するようになる→さらにあがる。
このように、一つの思い込みがあがる状態を生み出し、それがさらに強くなっていき、はまり込んでいくということが、ことが起こりえます。
一度ハマる経験をすると、次に同じような場面で遭遇すると、さらに深い負のスパイラルにハマり、その体験を二度としたくないと思い、それを避けようと必死になります。
するとその避けようと必死になっている場面を、また体験すると、もっと深くハマる体験をして、もっと深い負のスパイラルにハマっていくという、多重構造の負のスパイラルにハマっていくというのが、僕の場合でした。
そして、このパターンの人であがり症になる人はとても多い気がします。
この負のスパイラルを生み出しているのが、潜在意識に格納されている、思い込みなので、その潜在意識へアクセスして、思い込みを書き換える必要があるわけです。
それを意図的に行うのが催眠療法です。
思い込み(ビリーフ)の書き換え
ネガティブな思い込み(ビリーフ)を「あがることは、だれでもあるし、そのままでも平気である」「あがってもそれは個性だし、私の価値は変わらない」というような思い込みへと書き換えることができれば、あがり症はある程度解消されるということが言えると思います。
あがることそのものが“問題”でなければ、逆にあがらなくなるという現象が起きるのです。
なんとも、人間の心理というのは厄介な構造になっているとつくづく思います。
避けたいと思うことが、どんどん避けられなくなっていくという、逆作用の法則みたいなものが存在するのです。
僕はこのことを、>>あがり症改善プログラム<<で理解・実践ができました。
それによって、は一定の結果は出ました。
しかし、僕はその段階以前にもいろいろなあがり症対策を講じてきたので、それと組み合わさって一定の効果があがったのかもしれませんし、そうでなく催眠単体で効果が出たのかもしれません。
それは、正直分からないのです。
いずれにしても完全にあがることから、解放されたわけではありませんが、一定の成果をこの時点で出すことができたのは事実です。
催眠以外の方法
そして、潜在意識に格納されている思い込み(ビリーフ)を書き換えることができるのは、催眠だけではありません。
それは次の2つで実現します。
- 衝撃的な出来事
- 継続的な刷り込み
(1)の例を上げると、人まえであがってしまい、何を言っているのかも分からない状態になったとします。
その状態で、とても大好きな人から、あなたは最高に素敵な人だよ!と称賛されて、それに対して強い喜びを感じたとします。
そうすると、「あがる=恥ずかしい」というプログラムが崩壊します。
これのキモは、強い喜びという、自分にとって衝撃的な出来事であるという点です。
この方法だと一瞬でプログラムの書き換えが起こります。
というふうに脳の接続にスイッチが起きるのです。
なお、これは、逆のことも言えます。
人まえで失敗して、笑われて強烈な恥ずかしさを感じたとします。
そうすると、「人まえで失敗する=強烈な恥ずかしいこと」というプログラムができやすいのです。
この強烈な恥ずかしさという、衝撃的な体験が、一瞬でプログラムを生成してしまうのです。
(2)は、衝撃的ではないけど、継続することへ変わっていくケースです。
例えば、仕事の打ち合わせで、あがって毎回声が上ずったり、言い間違えたり、カミまくったりしたとします。
それでも、周りの人は笑うこともなく普通に打ち合わせを進めています。
この打ち合わせを、繰り返すことで、「あがること=普通のこと」というような思い込み(ビリーフ)が生成されるのです。
一回一回の体験は衝撃的ではないのですが、それが継続されると新しいプログラムが生成されます。
他者の反応の影響とあがり症
他者の反応に対して、自分がどのような反応をするか?によって、潜在意識の思い込みが大きく影響します。
人まえで言い間違えをして笑われたとします。
この笑われたという出来事は事実であり、この出来事そのものを変えることはできません。
そして、相手が何に対して笑うのかは、自分はコントロールできません。
そして、コントロールできない他者の反応に対してどんな観念を持っているのか?によって、あがり症になるかどうかに大きく影響します。
例えば、
「人に笑われることは恥ずかしいことだし、そうなったらもう生きていけない」
などという観念を持っているとすると、このような観念はあがり症になりやすいといえます。
逆に「人に笑われることは、笑う側の問題であって、自分の価値とは全く関係ない。
常に自分という存在の価値は揺るがない。」
というような観念を持っている人は、あがり症になりにくいと言えます。
他者はコントロールできないというのは真実です。
上手に行えたとしても、馬鹿にする人は必ず馬鹿にします。
催眠を使う
僕は、当時催眠的な方法で、自分のプログラムを書き換える取組もはじめました。
これは、有効だという実感もありました。
これがキッカケで、NLPという心理学も学ぶようになりました。
NLPには催眠的な要素が多分に含まれています。
あがり症を一発で完全克服とはいきませんでしたが、僕のあがり症は本当に少しずつ少しずつ改善されていきました。