就活のことを考えると、気が重くなった、
ただでさえ、就活は苦痛だった。
自分という存在価値を値踏みされる体験を、しなければならないのだ。
この就職氷河期において、おまえは価値がないという判定をくだされる体験を何度もしなければならないのだ。
年が開けて2003年も月日が進み10月に入った。
僕は就職先の候補はすでに上げていて、就活や面接ノウハウの本を買いあさり、対策をしていたけど、面接であがるということに関しての対策は今のところはなかった。
どうしよう、、、、、
薬を服用すれば、乗り切れる!?
その時ふと思い出した。
院内カウンセリングを受けた病院で言われたことを。
それは、薬で「あがり」は抑えられると。
その時僕は翌日前回とは違う病院へ向かった。
そして、症状や就活の状況を話すと、「デバスという抗不安剤」「インデラルというβブロッカー」を処方された。
「抗不安剤」とは、不安を取る作用があり筋肉が弛緩(しかん)する効果もある、βブロッカーは震えが無くなる。
この2つを面接の前の1~2時間前にのめばあがらないという。
本当にあがらないのだろうか?
信じがたかった。
この錠剤を口にするだけで、今までさんざん悩まされてきた「あがり症」から解放されるの?
医者が言うには、実際に飲んでみて、自分にとっての適量と時間を見つけることが必要で、人によって効き目や時間が違うらしい。
僕は2日後に決まっている、OBとの面談のときに飲もうと決めた。
OBとの面談は面接という感じではなく、それほど緊張する場面でないのがちょうど良かった。
AM10時の約束なので、8時には薬を噸服(とんぷく)した。
インデラルを20mg
デパスを1mg
9時半に待ち合わせ場所の着いたときは、体がまったりした感じで少し眠い。
これが、薬の効き目なのだろうか?
OBが約束の10分ちょっと前に表れて、打ち合わせ室へ案内されて、30分程の面談。
そもそもそれほどあがる場目ではないのだが、効いているのかが分からないまま終わる。
しかし、その後、その会社から連絡はないので、その面談で落ちたということになる。
それから、実際の面接の前に飲んだ時は、その効き目がはっきりと分かった。
その時は、大きな会議室に面接官が5人いて、僕は一人という構図だった。
薬なしの状態なら、面接にならないが、緊張しながらも足や手声の震えはほとんどなく、アタマも真っ白にはならない。
受け答えは、緊張しながらもなんとかそれなりの話をできたと思う。
普通の人と比べると、流暢とは言えないかもしれないけど、一定レベルアピールはできた気がする。
少々障害になる要素としては、頭がぼーっとする、眠くなるという点であるが、あがっている状態と比較すると、深刻な問題には思えなかった。
薬が効かない!
別の面接の時は、前回と比較して、相当あがってしまった。
記憶はあるけど、質問に対して、見当違いなことを言ってしまったのだ。
なぜだ?
薬が切れかけていたので、再度病院へいきそのことを話すと、量をもっと増やしてくださいと言われる。
今までは
インデラルを20mg
デパスを1mg
これを上限
インデラルを50mg
デパスを3mg
の範囲で、量を調整してくださいということ。
僕は早速、量を増やして使い始めた。
その時は上限一杯でないと効かないので、いつもその量を噸服(とんぷく)して、活動していた。
就活を乗り切っても入社後が問題、、
自分が面接でちゃんと話ができるということに対する感動もあったのですが、同時に根本解決にならないということが、常に頭の中に刺さっていた。
これで内定をもらったとしても、入社したら人前で話す機会は日常的になるのは必至であり、そうなったら薬では対処できるわけもない。
急に上司から呼ばれ、プレゼンをするよう要求されるなどということは、企業のなかであれば日常業務なわけだし、薬ではとても対応できない。
事前に準備ができないことなんてしょっちゅう起こるであろう。
つまり、薬を使って就活を乗り切ったとしても、それは問題を先送りしているに過ぎないということになる。
しかし、だからといって、薬なしでの就活は到底不可能でもありました。
就職したら、自分はあがり症だから、人前で話すようなことはできないなんていう説明をしたところで、ふざけるな!仕事をなめてんのか!となるのが社会であろう。